俺たちは、地区センターに集まっていた。

お金がないから大人になっても地区センターで会議するしかない。自分の話をするたび喉の奥に言葉にならない塊が滞留する。もう37歳だ。俺たち4人組はいつまでたっても変わらなかった。変わらないことだけが、俺たちの共通点だったのかもしれない。ホワイトボードの前のパイプ椅子が、俺たちの体重でかすかに軋む。

それでもゼロから何かを作り出すことに憧れていた。たぶん仕事にも生活にも、自分の意志が通った痕跡みたいなものが足りないからだ。手すりが続いてる道が正しいと誰かが言った気がする。その言葉が、壁の防火マップに描かれた赤い矢印と頭の中で重なった。

フグみたいな蛇は食べるのかという話がどこからか流れてきた。鹿の肉も食べれます、今からするのはユニークな話ですと誰かが言い訳するように続けた。自分はスリッパをうまく説明できなくてごめんねと心の中で呟いた。説明できないものの方が、かえって本質に近い気がする。

条件付きで神様って事ですかという問いに、君たちみたいのを天使と思っているのよと返す声が聞こえた。神様でも天使でもない俺たちは、ただ白い板の前に座っているだけだ。歌のパートは誰かに譲るべきだという意見も出た。何かを譲るということは、自分には何もないということかもしれない。

お前は最初から用意した台詞を言っていると言われた気がする。確かに俺は自分の会社と戦うことに時間がかかってる。戦っているのか戦わされているのか、その境界が曖昧なままだ。後ろ見た時にどれだけ謝れるかという言葉が頭の中で反復する。謝る練習ばかりが上達している自分がいる。

さっき追い払ったのってスーモ?と誰かが言った。追い払ったというより、気づかないふりをしただけかもしれない。周りの人が自分の名前を忘れてきてる。名前を呼ばれないまま時間が過ぎていく。でも名前を覚えてもらうための努力を、自分がもうずっとしてなかったことにも気づく。

蛍光灯の光が頭の上で規則的に鳴っている気がする。あの光はたぶん、見る人によって暴力にも優しさにもなる。そういうことの積み重ねが、今ここに俺たちを集めているのかもしれない。ホワイトボードを見る。そこには、会議の濃密の内容というより、俺の脳が解剖したときにあふれ出る、汁のような、でも俺たちが、昔書いたときのような、海の岩に書いた、落書きのようでもあった。